- 473 :なまえ_____かえす日:03/07/05 15:14 ID:lPs9TGly
- 爺さんと婆さんが縁側で背中を掻き合う、という描写のある話。
地味でしんみりした話だった記憶があるんだが、何だったか思い出せない。 - 476 :なまえ_____かえす日:03/07/05 16:13 ID:bU2+mu6L
- >>473
斉藤隆介の「寒い母」?
かなり嫌な展開の童話だった記憶。
http://book.5ch.net/test/read.cgi/juvenile/1051783548/473-476
斎藤隆介全集〈第12巻〉春の声・寒い母 (1982年) - – 古書, 1982/7
斎藤 隆介 (著)
http://amazon.jp/dp/B000J7L3KU
表紙画像あり
ベロ出しチョンマ (新・名作の愛蔵版) 単行本 – 2000/11
斎藤 隆介 (著), 滝平 二郎 (イラスト)
http://amazon.jp/dp/4652005091
表紙画像あり
http://id.ndl.go.jp/bib/000002941319
内容細目 花咲き山. ソメコとオニ. 死神どんぶら. 毎日正月. 春の雲. ベロ出しチョンマ. 白猫おみつ. おかめ・ひょっとこ. こだま峠. 天狗笑い. 緑の馬. 天の笛. 白い花. 寒い母. トキ.
「寒い母」のあらすじ
昔、朝鮮の咸鏡北道に、七人の息子がいる寡婦がいた。
木樵をしていた夫は、山で木の下敷きになって死んだ時、彼女はまだ二十八歳だった。
子供たちは母の苦しさと家の貧しさを知って、小さいうちから働いて家計を助けた。特に長男のピョルスンイは、何でもやる思いやりの深い子である。
ピョルスンイが木樵を生業とするようになった時、母は四十四歳になっていた。その年の冬から、母はひどく寒がるようになった。七人の息子たちが木を山のように持ってきて休まずに火を焚いたが、それでも母は寒がった。
七人の息子たちはよく稼ぐ者なので、一度眠ったら朝まで起きない。しかし、その晩はどういうわけか、ピョルスンイが目を覚ました。母の姿が見えない。ずっと待っていると、歯をガチガチ鳴らしながら明け方に帰ってきた。
ピョルスンイはその日は眠らず、母の後をつけることにした。母は村はずれの川につくと、着物を脱いで川を渡った。ピョルスンイもついていく。川から上ってしばらく歩くと、濡れたズボンが凍った。母は、またしばらく歩き、隣村のある草屋の戸を叩く。
中から老爺が現れ、愛しげに母の手を取った。部屋の中で、老爺と母は、お互いの背中を気持ちよさそうに掻き合っていた。この国では、夫婦の事を行うことの出来ない年寄りは、互いに背中を掻き合って愛おしみ合うのだ。
ピョルスンイは、母が自分たちを育てた年月は大変だったろうなァという思いと、母も女だったことを忘れていたという思いで、涙を浮かべた。夏でも寒いと震えていた母の心と体が身にしみて分かった気がした。
ピョルスンイは家に帰ってすぐに兄弟を起こし、事情を話した。それから、母が帰ってくる前に、冷たい川に入って大きな石を1つずつそれぞれ据えた。作業を終えると、大急ぎで家に戻り、ふとんをかぶって眠った。
母は川の中に飛び石が渡されているのを見て、涙を浮かべ、神に祈った。この飛び石がいつまでもあるように、そして、誰かは知らないが飛び石を渡してくれた人が亡くなったら天の星になるように。
母はそれからも隣村へ通った。七人の息子たちは、次々に結婚した。母も息子らの結婚を喜び孫たちをかわいがったが、隣村通いはやめなかった。
やがて、隣村の老爺は死んだ。母は隣村へ墓参りに通う。前の夫墓参りはする気にならないので気がとがめたが、それが自然なのでそうした。やがて母は安らかな顔で死んだ。
何十年か経ち、七人兄弟が全部いなくなった宵から、北の空に今までになかったひしゃく形の七ツ星が輝きだして人々を驚かせた。神様は、哀れな寡婦の祈りを覚えていなさったのである。
朝鮮咸鏡北道南面里には、今でもその飛び石が川を渡って白く顔を出している。
縁側ではないが、背中を掻き合う場面が印象的な話ではある。